1966年生まれ、北海道札幌市出身。弘前大学医学部を卒業後、弘前大学大学院 医学研究科卒業、医学博士号を取得。その後、様々な整形外科で研鑽を積み、2022年9月、現在の「やなぎ整形外科・漢方クリニック」を開設。
長年、勤務医をやってきてきましたが、大きな組織の中ではなかなか自分の思うように現場を動かせないことも多くて、その点にもどかしさを感じていました。
とりわけ、整形外科に漢方医学を取り入れようと言っても賛同者はまずいません。それなら、自分の医者としての最後のキャリアは、自分で診療所を開設し、保険診療内ということ以外は一切制限を受けない環境で、自分のやりたい医療を思い切りやってみようと考えたわけです。
「医者もスタッフも、全員で患者さんを診て、治す」ことです。
漢方医療には望診という診察法があり、患者さん全体を見て、表情や顔色、立ち振る舞いなんかでさえも処方選択のヒントとします。患者さんが医者の前で普段と違う振る舞いをみせ、表情を作る(無意識であっても)ことは珍しくありません。
看護師や事務員その他の職員の前では、診察室の中とは違った表情を見せたり、医者の前では話せなかった本音がポロリとこぼれたりするようなこともあります。そういうことが治療への大きなヒントとなることもあるのです。
医療業界は、テクノロジーの進化により、医療機器なども発展を続けていると思います。治すことが困難であると思われていた病気も、治療が可能になったことはその恩恵を受けていますよね。
一方で、最先端の医療を必要とはせず、命の危険を脅かされるわけでもないが、日常生活に支障をきたすような疾患で悩んでいる患者さんも多いです。そのような患者さんを診るのが、我々街医者の役割だと考えています。
持続可能な医療を提供していくために、最先端の医療機器・医療設備がなくとも、またその環境なども選ばず提供できる医療が、生活の中で必用不可欠だと考えております。私が専門としている漢方医療は、機械を使わない医療ですので、どこでも提供できる医療の一つです。
また、新たに取り組みを始めたことがあります。「YNSA(山元式新頭鍼療法)」という針治療です。これは山元敏勝先生によって考案された針治療で、日本での知名度は低いですが、世界ではすでに数千人の医師が実践する非常に有名な治療法です。
この治療法で必要な技術は診断と針のみです。場所や環境を選ばず、災害現場でも提供することができるでしょう。現在、私はこの技術を習得するために励んでおります。
人生の岐路に立った時、私は辛いと感じる方の道を選ぶようにしています。コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを重視する方には、耳障りな話かもしれません。ただ、一度楽な道を選ぶと、その先も楽を求めてしまうように思うのです。
後悔をしないためにも、挑戦や失敗を恐れずに頑張っていただきたいですね。