名古屋大学教育学部卒業。新卒で地元地方銀行に入行、25年間勤務。在職中に1級ファイナンシャルプランニング技能士及び中小企業診断士を取得。2019(令和元)年6月独立。
現在は、資金調達を主とする資金繰り支援に先鋭化しながら、人事組織開発、マーケティング、事業承継、知財など会社における総合的な支援の依頼を受けることが多くなってきている。
銀行員として社長さんと面談をする機会が多くありました。その中で、「うちはこういう仕事をやっている」とおっしゃる社長さんに対して、「いいですね」などのもっともらしい受け答えしかできない自分がなんとなく嫌で、財務が分かっただけでは会社を分かったことにはならないと気が付いたのが原点です。
ゆえに「経営」というものを知りたいと強烈に願ったことから中小企業診断士を目指しました。取得後、銀行においては資格を活かして頑張れる範囲が「資金を供給する」ことだけしかないことに限界を感じて、中小企業診断士として独立し、開業しました。
中小企業診断士として、中小企業を主とした経営コンサルタントとして、「お金を稼げる力を持つ事業をすること」を目的として活動しています。
資金繰りについては習熟している自信はありますが、社長がやっている事業自体に対しては素人でしかない、ということを肝に銘じています。実際に、私の経験なんて財務以外はいちサラリーマンの経験でしかないのです。ゆえに経営コンサルタントといえども無知の知でないと、その会社のことを正確に知ることは不可能であると思っています。
また、その業界慣習や常識を知らない素人が普通に考えて「こうやったらいいのではないか?」「ここはおかしいのではないか?」と感じる部分をぶつけることによって、社長にとっての固定観念の打破や、パラダイムシフトを促せると考えています。それにより劇的な改善がなされた会社もあります。
もう一つ、その素人力を発揮するために必須なスキルがあります。それは社長・会社のことをよく知ることです。そのためには、社長・社員とのラポールの形成、そのためのスタンスとして徹底的に寄り添う、理解することを強烈に意識しています。もちろん、寄り添う=社長の行動全部を肯定する のではなく、指摘する点は指摘する。ただし、指摘したとて信頼関係の構築がなければその指摘は社長の耳を素通りすることになります。
自分で振り返ってみれば、社長に大変酷いことを言っているな、と思うときもあり、社長がイヤな顔をされることもあるのですが、そのことで信頼関係が揺らいだことはありません。それを言うことにより、会社・社長・社員が「生き生きと働ける環境」を維持しながら「お金を稼ぐ」ことができる、を信念として、今日も嫌なことを社長に言いつつ仕事をしています。
私も少なからずプロボノ活動を行っていて、そこでSDGsが議論されたこともあります。その時に「鷲尾さんって、SDGsの活動は意識してやっているんですか?」との質問がでました。
私の答えは、「稼ぐことがSDGsにつながる。そのため、会社・個人がいっぱい稼いで、いっぱい税金を納めることで、SDGsのための富の再分配になる」です。
一人一人がボランティアで現地に行って、SDGsのための活動をすることを私は否定しません。ただ一人の活動より、巨額の資金を持つ国家が俯瞰して富の分配を行うことのほうが効果は高いですし、SDGsの基本概念である「誰も取り残さない」という意義からしても一人ができることは限定的でしょう。
もちろん税金の使い道を間違えないよう、我々は見識のある政治家を選ばねばなりませんし、税金の使い道をチェックしていく、いやその前に税金を知ることが大事ですし、税金を多くして、ひいては使える資金を多くすることが、SDGsの目標を達成しやすくなると考えています。
さらに、天邪鬼の私にとっては、スーツの左胸に着けている丸いレインボーのバッジを見るたびに、「本気でSDGsに取り組んでいるのだろうか。この人、この会社は?」と思うこともしきりです。そのバッジを作る金があるなら、その分寄付してあげたらいいのに、とも思えます。
SDGsを実行するって、そういうカタチではなく、気持ちです。でも気持ちを実現するためには、悲しいですが、原資=お金 が要ります。そのお金を稼いで税金を納めることが大事であることと、もうひとつ、個人的にSDGsをしたいなと思うのであれば、寄付をすることが大事だと思います。
思うように税金が使われていない、と感じるのであれば、SDGsの各テーマにおける活動をされている団体などが寄付を募っているので、そこを頼ることをお勧めします。その団体をよく見極める必要はありますが、そこへ寄付することが自身が動くよりも効果的にSDGsに向かっていけるのではないかと思います。
納税(のために稼ぐこと)と寄付(のために稼ぐこと)、私にとってはこの2つがSDGsの目標に達成するための一番効果的な方法だと考えています。
よくPDCAと言われますが、Pだけにとどまっている人、プロセス実施で満足している方が多いな、と感じます。社会人として大事なことは「結果を出すこと」です。成功であろうが失敗であろうが、保留にしないできちんと「結果」「結論」を出す。そしてそれを徹底的に分析、検証し、次のステップに活かしていく。これは経営だけではなく個々人の人生でも同じだと思います。
ただ、意識していただきたいのは、若者はチャレンジする回数が大人と比べて相対的に多いということです。歳を取った大人より十分に時間は残されています。しかしながら、ただ計画だけで留まっていたり、プロセスを重視するあまり結果論として何も成さなかったり、という状態になっている方もいると思います。それは時間の浪費であり、結論の先延ばしになり、何も社会に対する貢献はしていないことになります。
失敗する時間は十分にあるので、早く結論を出し、それに対する検証を行い、次の行動の糧とすること。このサイクルを何回でも心がけることが、この世の中の発展につながると考えます。