杉野大輔
sugino daisuke 杉野大輔 株式会社スリープ愛ランド 代表取締役

Profile略歴

新卒後から小売り業界に入り、国内外ブランド展開、オン・オフライン双方でB2C・B2Bのバリューチェーン全般に携わる。グローバルでの商流構築を経験した後、海外MBAを取得。ソニー系列でのグローバルマーケティング構築を経て現職。
現在は国内4モールにて『眠りの神様』shopを展開、西川寝具を中心に良質な寝具を販売。今後に向け寝具屋からウェルネスへと事業領域を再定義し、企業変革を推進中。人生をイキイキと過ごしていただくための価値提案を展開中。

現在の仕事についた経緯

前任代表が高齢により引退される際にご縁があり就任した形になりますが、もっとも大きな要因はやりがいです。
私は30代後半に趣味のサッカーで慢性的に手に痺れが出る怪我をしてしまったのですが、その時に寝具や睡眠環境を整えることで回復に向かった経験をしました。寝具と身体のマッチング次第でこんなにも毎日の生活が変わるのかということを実感しました。
元々健康面への興味は高かったのですが、この経験により寝具の提案で人生をイキイキと過ごしていただくことに貢献してみたいと思い、そこにやりがいを感じたことが挙げられます。
事業としては競争環境が激化している寝具業界において、『布団屋』から事業領域を再定義し転換する必要がありました。そうした環境下で求められる商品知識・経験、EC経験、グローバル戦略など事業変革の戦略方向性と自身の強みがマッチしたことも大きな要因です。

仕事へのこだわり

お客様、お取引先様と安心、安全にお取引ができるようにすることを常に心がけてきました。そしてその先に驚きを感じていただくことで信頼を築き、双方にとって有益であることを信念に仕事をしてきました。
小売りは業界的に基本的には営業利益率が低く、販売価格と仕入れ価格が最終利益に大きく影響します。市場競争に価格訴求で対応するよりも、他とは異なった提供価値を創り上げる、いわば消費者の中に新しい需要をつくることに目を向けて、自社、消費者、取引先の3者がWin-Win-Winの状態になれる仕事をしてきました。

一方、職位が上がり、仕事領域も広がるにつれ、ステークホルダーコンセプトをより考えるようにもなりました。これまでのお客様、取引先から、従業員、関連業者、株主、そして社会全般、環境、すべてがWinになることに目を向けています。
特にMBAでの学びを通じて、自身が考えていた以上に消費者へSDGsへの関心が浸透していることには驚きました。ただ商品を作りお客様のためになるだけでなく、いかに社会にとって価値を提供できるかに視点をおいたモノづくり、ビジネス展開を心がけています。
目先の個人の利益にだけ目を向ければ、取引も企業も長くは続かないのではないでしょうか。これは持続的観点をもつSDGsの考え方とも同様と考えます。

「SDGs」についての取り組み・考えなど

2つの観点で取り組みを進めています。

1点目は持続的な健康の観点です。
日本人の40代50代で6時間未満の睡眠の方はおおよそ5割というデータが厚生労働省から発表されています。また日本人の平均睡眠時間はOECD加盟33ケ国で最も少なく、睡眠難民国であることが分かります。睡眠が少ない理由は仕事の忙しさで48%、家事・育児の忙しさで35%でした。日本の仕事環境、生活習慣を劇的に変えるのも難しく、結果として睡眠時間を削っている現状です。
こうした状況に対して、『布団屋』として新しい寝具やウェルネスの視点から睡眠環境を整えることで、同じ睡眠でもより深い眠りを得られるような提案をしています。
新しい提案として、2024年6月頃にアスリートを支えているphiten様とのコラボレーションで、世界初のphitenマットレスを発売予定です。『睡眠を超えるREST』を目指し、同じ睡眠時間でもphiten技術が入っていることで、身体と脳をリラックス状態へとサポートし、また就寝以外の時にも使用いただくことでRESTの機会を増やす商品になります。寝具を切り替えるだけで人生を継続的にイキイキと過ごしていただきたいです。

2点目に資源の観点になります。
人気の商品として羽毛布団がありますが、原料となる羽毛にも限りがあります。2024年から西川様との協業で2つの試みに着手しました。羽毛布団の引き取りリサイクルとリフォームです。西川様のGREEN PROJECTに賛同し取り組みはじめましたが、想定以上にお客様からご支持いただいており、SDGsへの興味関心の高さを改めて感じました。
特にリフォームは『親からの贈り物なのでこれを永く使いたい』という要望からお申込みも多いです。欧米では家系代々で大事に受け継がれる逸品などがあると思いますが、日本でもSDGsへの関心から一つのものを永く使う文化が発展し、そうした流れに私も貢献していければと思っております。

若者へのメッセージ

『できること』で貢献することも大事ですが、『やりたいこと』にチャレンジして限界突破していただきたいですね。個人的には『熱中』に勝るものは無いと思います。好きこそものの上手なれですね。
とことん突き詰めるには好きであることは重要なファクターと考えます。仕事でなく人生や趣味と捉えられることへの取り組みは強いです。

年齢が変わると仕事や人生への考え方、取り組み方も変化すると思います。
ただ、私の周りの人と話すと『あの時ああしておけばよかった』と後悔している方は多いですね。やりたいことにチャレンジしていただきたいですし、そのための環境をどのように手に入れるかという視点も大事になると思います。