宮崎大学大学院(農学・修士)卒業。平成22年に新卒で農林水産省に入省。13年間、主に畜産行政に携わった後に退省。
令和5年に家業の飛鳥ワインに入社し、令和6年より長野の大手ワイン企業で研修中。
実家が祖父の代から90年、ぶどう栽培とワイン製造業を営んでおり、Uターンで地元の大阪に戻った形になります。
もともと家業を継ぐ気はなく、農林水産省で畜産行政に13年携わっていました。働いていくうちに、働く人の環境を整える公務員の仕事ではなく、自分自身で何かを生み出す仕事がしたいと考えるようになり、家業を継ぐことを決めました。
実家ではワインをつくっていたものの、戻るまではワインはほとんど飲まず、知識も全然ない中での挑戦になりましたが、やりがいのある仕事で充実した日々を過ごせています。
仕事をある程度長くやっていると、自分のやり方・スタイルみたいなものが出来てくると思います。私の仕事であるブドウ栽培・ワイン製造の場合、収穫や醗酵管理のタイミング等があり、過去の成功体験からある程度やり方が自分の中で決まってきます。そのやり方は、自分の中で慣れていて、思考する必要性もなく居心地のいいやり方なので、変更することを嫌う人が多いと思いますが、私は常に自分のやり方をアップデートすることを心がけています。
私の場合、自然相手なので原料のブドウの出来が毎年違いますし、新たな栽培・醸造技術が生まれる可能性もあります。そのため、毎年何か一つは新しい栽培・醸造技術を取り入れることとしています。
現在はSNSや動画サイトなど、情報を取得しやすい時代になっています。年齢を重ねるとなかなか新しい情報を取得することが億劫になりがちですが、私自身は生涯、新しい技術や情報を取得する意欲と行動を維持し続けたいと思っています。
弊社は、もともとブドウ農家であった祖父が始めたワイナリーということもあり、ワインの原料となるブドウを自社で栽培しています。昔からの畑も多く、祖父と父が90年以上もしっかりと管理をしているからこそ、現在でもいい状態の土や木でブドウを栽培できており、コンクールでも金賞を受賞する等、評価していただけるワインをつくれているのだと思っています。
そのような中、私もこの畑を後世に繋いでいきたいと考えております。ただし、いい状態の畑を維持することは簡単ではありません。農薬や除草剤を使うと少なからず自然に影響を与えてしまうので、できる限り農薬等に頼らない農法で環境負荷を軽減しています。また、畑やワイナリーから出る、ぶどうのじくや絞りカス、剪定枝を発酵させて畑に戻す循環型農業にも取り組んでいます。このような活動は、府からの認証や、国からの表彰を受けています。
私としても、これからも自然環境を維持することで、この大阪の土地でのブドウづくり・ワインづくりが何百年と続いていけばいいなと思っています。
私自身、まだ30代で業界歴も浅いこともあり偉そうに何かをアドバイスできる立場ではありませんが、公務員時代に上司から言われて大事にしている言葉をメッセージとさせていただきます。
仕事をしていると、やりたい部署等ではなく望まないポジションに就くことも多々あるかと思います。そこで嫌々仕事をするのではなく、「その場その場で全力を尽くす」ことで、思いがけず後々に繋がることがあると教わりました。公務員時代は2年でポジションが変わりましたし、今も全く異なる業種ですが、前職の知識や人脈が役に立つことも多くあります。
もちろん職を変える等、環境を変えることも時には必要ですが、どうせその環境で働くなら、全力を尽くす方が、次のポジションでより活躍できると思いますので参考にしてみてください。