河野佳介
kawano keisuke 河野佳介 株式会社五常 代表取締役社長 https://www.gojoh.com/

Profile略歴

2000年、宇都宮大学農学部卒業。同年エーエムピーエムジャパン(CVS)に入社し、スーパーバイザーから、新規事業部門でのコーヒー販売・DVDレンタル事業まで携わる。
新規事業を軸に働きたいと考え、2008年に株式会社エムアウト(起業専業企業)に転職、人事・事業開発・事業内の営業を担当。
2011年に現在の株式会社五常に入社し、2017年に代表に就任。五常にて20以上の新規事業を立ち上げ、現在5事業を運営している。
著書「経営の言語化」(PHPエディターズグループ)を2024年に出版。
現在は経営・営業に関するセミナーや、他社の外部取締役として活動の幅を広げている。

現在の仕事についた経緯

もともと五常は職人さん数名の工事会社で、95%を一社依存で経営しており、非常に不安定ながら何か新しいことに取り組んでいる最中でした。
その新しい工事の営業を必要としていることを知り、古い業界なら何かを変えられるのでは、と入社を決断しました。
web(ホームページ)を活用したり、業界の常識を疑って1ヶ月かかる納期を即日で対応したり等、中小企業ならではのニッチな顧客の課題に向き合い、商品サービスを立ち上げ、売り上げ規模も入社当初の7000万円より10倍の規模に成長しました。

仕事へのこだわり

とにかくやってみる。なんでもやってみる。頼られるのなら、できることに全力で応えていく。そんなスタイルで取り組んできました。自社の工事が簡単に売れないなら、工事をやる上で困っている人を助けるサービスを立ち上げ、製品開発を行おうと考えました。
自社で今できていることを、他のマーケットに利用してもらうという考えで、台車レンタル事業を立ち上げました。その後、売って欲しい、買って欲しい人が現れたので、物流機器販売事業を立ち上げました。販売代理店よりも、ファブレスメーカーの方がもっと小回りがきき、新しい商品開発もできると踏んで、中国へ単身でパートナー(工場)を探し、メーカーへと変貌しました。
新しいマーケット、物流業界の過酷な職場環境で困っている責任者、働く従業員の方たちの課題解決につながる、環境改善商品等の開発・販売を通して必要とされる企業に変わっていきました。
どうして売れているのか、必要とされるのか、選ばれる理由は何か、それを社員と一緒に考え続け、自分たちの存在意義や価値を常に言語化し続けることが、自分たちの働く喜びにつながると考えております。
感性を磨き、本当の困り事を見つけ、自分ごととして捉える。そして悩み解消が、商売の本質であると見出せたこと。これが私の仕事へのこだわりと考えます。

「SDGs」についての取り組み・考えなど

2019年、スウェーデンでのSDGsの最先端の取り組みを見て、衝撃を受けました。「環境にいいこと」=「少し人が我慢」=「経済的コストアップやむなし」という固定概念を180度ひっくり返されたのです。
環境、人、経済、3つの要素はサステナビリティに、どれも欠けてはいけないということに気付かされました。五常のサステナビリティとは何か。常に考えて仕組みにします。
五常で働く社員が、長く楽しく働き続けられるにはどうすればいいのか。会社が社員を幸せにするのか。人それぞれによって幸せの形は違うのではないか。そうであれば、社員個々の幸せを尊重し、社員が、会社のリソース(人・モノ・金)を活用して、自分の幸せを実現すればいいと考えます。そのためには、会社がどんな形(組織)がいいのか考えて柔軟に変化してくことが大切だと思います。
SDGsにおいても、現在地球がどうして持続可能な状況ではないのかを正しく理解した上で、自分たちにできることから実行に移したいと思っています。特に私たちは人に着目し、地域の人が長きにわたって安心して暮らせる社会の実現に取り組みます。
その答えの一つは、2023年5月に完成したサステナブルオフィスGOJOHです。普段は事業活動がされる建物ですが、災害や有事の際に地域の防災拠点になります。水・電気・快適な空間は、近隣の住民の方にいつでも開放できます。太陽光発電と蓄電で最低限の電気を確保し、断水時でも井戸水は24時間活用できます。地下熱を利用したエアコンは、常に快適な空気を室内に送り込みます。
我々のような小さな取り組みが集まれば、地球規模に影響を及ぼすことができると信じています。

若者へのメッセージ

仕事で悩む人もいるでしょう。大きな目標が持てない人も、まずはできることからやってみるといいかもしれません。仕事は、誰かの悩みの上に成り立ちます。その人と向き合うと、必ず感謝の言葉をいただけるのです。
どうして私たちは悩むのか、その一つは正解にこだわるからです。テストは正解が一つでも、仕事の正解は一つではありません。大切なのは信じて進むこと。時代が変わると、正解も変わります。とりあえずやってみた後、その答えに向き合えばいいのです。
もう一つは、見えないものを見ようとするからです。うまくいくかな。断られたらどうしよう。怖くて動き出せないなんてことはよくあります。悩んで動き出さないことが、一番のリスクです。思い続けても結果は生まれませんが、行った通りになります。自分を信じてやってみたことで、いい影響が出ればラッキー、問題が見えたらその時に対策すればいいのです。
どんどんチャレンジして、いろんな問題にぶつかろう。たくさんの人に喜ばれていくと、次は世の中に共通した課題が見えてきます。今よりももっと大きな目標が持てると、思いもよらぬ成果をあげられるようになるはずです。とにかくやってみよう!