伊藤祐
ito tasuku 伊藤祐 株式会社Zenyum Japan 代表取締役社長 https://www.zenyum.com/jp-ja

現在の仕事についた経緯

2011年にコンサルタントとしてアクセンチュア株式会社に入社しました。
シンガポールやフィリピン等でビジネスプロセス改善のコンサルティングプロジェクトに従事した後、2016年にフロスト&サリバンジャパン株式会社に転職。シニアマネージャーとして各種コンサルティングプロジェクトのリード、セールス、トレーニング等に従事しました。
2019年にはOYO Japan株式会社(現社名:Tabist株式会社)に転職し、全社戦略の策定および推進、営業戦略の立案と実行、社内オペレーション改善等を主導。
現在は、シンガポール発の歯科製品ブランド「Zenyum」の日本法人である株式会社Zenyum Japanの代表取締役社長兼CEOとして日本でのビジネス拡大を主導しています。

仕事へのこだわり

私は、ファーストキャリアとしてコンサルタントを選択し、アクセンチュア株式会社にて、日本の大手企業のシステム導入を中心に仕事に邁進していました。先輩方、同期、後輩みな非常に優秀で、毎日圧倒されることが多かったです。
「自分はもっとできるはずなのに」と思いながらも、なかなか結果を出すことができませんでした。そのときのことを振り返ると、常に「自分がどう成長するか」「何を学べるか」という観点が主になってしまっていたように感じます。
もちろん、毎日新しいことを学び、できることを増やすのは大事なことです。ただ、それはあくまでも仕事の副産物であり、最も重要なのは「お客様への提供価値の最大化」なのではないでしょうか。
基本的には人は「自分がどんなメリットを得られるだろうか」という観点で動いてしまいますが、そのような利己的な観点が前面に出てしまうと、お客様や周りのメンバーから信頼を得ることは難しく、結果として思うような結果が出せなくなってしまうことがあります。
今は、自分がどう成長できるか、どんなものを得られるか、というのはいったん脇に置いて、一緒に働いているチームのメンバーや、ゼニュムのサービスを使ってくださっているお客様、パートナークリニックの先生やスタッフの皆様にどのように貢献できるか、ということを主眼に置いて仕事をしています。
自分が今まで培ってきた経験や知識は、そのままでは何の役にも立ちません。それを可能なかぎり他の方の役に立てるように、喜んでもらえるように活用することで、はじめて意味を成すと考えています。
チームのみんながなるべくストレスなく、やりがいを持って働けるような環境の構築、お客様が不安なくマウスピース矯正をできるようなサービスやプロダクトの作り込み、パートナークリニックの先生やスタッフのみなさまに「ゼニュムとパートナーシップを結んでよかった」と思ってもらえるようなスキームの提案などなど、「周りのみなさまが喜んでくださるかどうか」という観点で仕事をするように心がけています。
短期的にはそれがゼニュムや私自身にとってのメリットにならないことももちろんありますが、何よりも相対している方への貢献度の最大化を試みることで、良い関係を築くことができ、長期的にそれが何らかの形で返ってくることもあります。もしその後何もなかったとしても、嘘をついたりごまかしたりして短期的なメリットを得るより、真摯に誠実に提案し、結果的に何も得られないほうがよいと私は考えています。
相手よりも相手のことを考え、行動し、最大限のご提案を差し上げること、それが仕事において何よりも重要なことではないでしょうか。

「SDGs」についての取り組み・考えなど

SDGsに関するゼニュムの取り組みでは、目標3「すべての人に健康と福祉を」に関わっていると考えております。
日本は歯に対する意識が他国に比べてあまり高くないと言われており、ゼニュムの主事業であるマウスピース矯正の浸透度も低い状況です。
「矯正」と聞いたとき、あまりポジティブなイメージをお持ちの方はいらっしゃらないように思います。「見た目が悪い」「虫歯になりやすくなる」「毎日が痛みとの戦い」「価格が高く手が出せない」などなど…。しかしながら、歯並びが悪いままで過ごしていると、見た目の印象が悪くなってしまうのはもちろん、口腔衛生上もよろしくありません。
ゼニュムは、グローバルでの大規模展開や、多数の歯科医とのネットワークを通じ、高品質なマウスピース矯正サービスを30万円台前半というリーズナブルな値段で展開しています。歯並びの改善に興味はあるものの、価格や見た目がネックでなかなか手が出せなかった方にも愛用いただき、「ゼニュムで矯正をしてよかった」という喜びの声を多数いただいております。
ゼニュムのサービスを日本で展開する際、私自身もゼニュムのマウスピース矯正を実施しました。私の場合、約7ヶ月でほぼ完ぺきな歯並びになり、今でも後戻りせず虫歯にもなりづらくなりました。
「歯並びで何が変わるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、歯並びが良くなることでより歯のケアを真剣に行うようになったり、写真に撮られる際や日々のお喋りの中で自信を持って歯を見せて笑えるようになったりするなど、ポジティブな効果は多数ございます。
日本のみなさまの口腔衛生、および自尊心の向上を目指し、今後も誠実に取り組んでいければと思っています。

若者へのメッセージ

大学を卒業した後、私はとにかく焦っていました。早く力をつけなければならない、社会から認めてもらわなければならない、一人前にお金を稼げる力をつけなくてはならない、そういう焦りに追い立てられ、必死で仕事をこなしていたことを覚えています。
趣味も特になく、土日は平日に終わらなかった仕事をしたり、勉強をしたり。疲れが限界に来ていたときは、昼過ぎまで寝て、その後は近所のブックオフでマンガを立ち読みする、みたいな生活でした。
そのときの私が感じていたような焦りは、おそらくどの時代でも若い世代が感じているものなのではないかと思います。日本の経済も、自分が属している企業も、今後の自分の伸びしろも不透明な中、焦りをエンジンにして必死に取り組む。今から振り返ると、不要なストレスや回り道もたくさんありましたし、もっとうまくできたよな…と思うことばかりです。
ただ、そこでのストレスや回り道の経験が、少なくともある程度は今にも繋がっています。そのときの辛さや大変さから得たものは、決して少なくはないのです。
私から一つだけアドバイスできることがあるとすると、「良く寝てください」ということです。焦りをエンジンにして日々必死に頑張るのは、体力的にも精神的にも楽なことではありません。遊んだり美味しいものを食べたり身体を動かしたり、いろいろな発散の方法があるかと思いますが、今まで試した中でもっともよい回復方法は「寝ること」でした。
しっかり睡眠を取った次の日は気持ちも前向きになり、頭もすっきりして気持ちよく仕事ができます。逆に睡眠不足のときは、変に思い詰めてしまったり、普段ならできることが手につかなかったり、という状況になっていました。
土日のみならず、平日でも、例えば火曜日と木曜日は夜11時までに寝る、というようなマイルールを作り、しっかりと睡眠を取っていただければと思います。睡眠を取ることで体力的・精神的な疲れを取り、後は健全に焦りながら目の前の仕事をこなしていくとよいのかな、と思っています。