伊藤毅
ito takeshi 伊藤毅 株式会社秋田テクノデザイン 代表 http://www.akita-techno.co.jp/

Profile略歴

昭和52年 秋田高校卒業
昭和56年 秋田大学鉱山学部電気工学科卒業
昭和56年 アキタ電子株式会社へ入社(平成14年に株式会社アキタ電子システムズに社名変更)
平成20年 株式会社秋田テクノデザインを設立、代表取締役に就任

現在の仕事についた経緯

設計、製造の受託の立場では、その仕事量は発注元であるお客様の都合で大きく左右されます。前に勤めていた会社がそうでしたが、お客様の注文納期に応じるため土日返上で作業をするときもあれば、全く仕事が来ないときもあります。
仕事量の平準化を図るため、発注元任せではなく、自分たちが持つ技術を生かし、企画開発から販売まで出来るようにし、自分の商品、所謂自社製品を作り、自分の頑張りと責任で仕事量を確保出来るようにしたいと決心しました。
その自社製品として、当時母の介護経験から、介護をもっと楽にしたい、介護される方の尊厳を守りたいと考え、介護関連製品分野を目指そうと考えました。団塊の世代が高齢を迎えているところであり、この方々への介護関連の見守り商品を通じて安心安全な介護を提供したい、そういう需要はあると判断したわけです。
そういう背景を元に、同じ志を持つ同士を集め、平成20年に株式会社秋田テクノデザインを起業しました。起業し、自社製品を軌道にのせるまでの間は、仕事量を確保する必要がありますので、設計・製造の受託事業を展開しつつ、自社製品の開発に注力しました。
開発は他社が既に上市している製品分野にあえて参入するのではなく、他社が商品化していないもの、又は当社独自のものという考えのもと、離床感知システム「テントウボウシくん」、排泄感知システム「しらせるぞう」の開発、販売に繋がっていきました。

仕事へのこだわり

商品を通じ、人に喜んでもらいたい、幸せになってもらいたいという信念を持ち、これが全ての開発の仕事に繋がっています。つまり、当然ではありますが自分の考えだけでなく使う方の立場になって企画開発をするということです。
その為に、使われる現場に出向いて、どういう場面で、どういう使い方をしたいかなど現場の人との十分な会話に努めています。
また、介護施設で製品の使い方で困っている人には、昼夜問わず直ぐに出向いて修復します。その時に、こんな時間なのによく来てくれたなと感謝されることがあります。こういう場面に出会うことが、起業、開発したことが嬉しくなる瞬間です。

「SDGs」についての取り組み・考えなど

開発した排泄感知システムは、排泄があった際に、どの程度の排泄量かをパソコン又はスマホでモニタ出来るものであり、介護施設で通常行われているオムツ交換の定時作業から、オムツ交換が必要になった時の交換(随時交換)につながるものです。
夜間、就寝中のところを定時のオムツ交換で起こされ睡眠を阻害することもありません。排泄有無に関わらず、従来の定時交換では6~7回のオムツ交換だったところを、3~4回程度で済むことがわかり、オムツ消費量が軽減されたということもあります。更に、これまで高吸収量の高価なオムツ、尿取りパッドを一律に使用していたところを、通常の吸収量のオムツ、安価な尿取りパッドに変更できたということもあります。
この製品は、排泄ケアが必要な時に必要な排泄ケアができることで、ご利用者の尊厳を守り、結果的にオムツ、尿取りパッドの消費量を軽減する、安価なものに交換できるといった効果が生じ、SDGsへの期待が出来るものです。

若者へのメッセージ

起業でも新商品開発でも、新しい挑戦をするときは、誰でも夢と情熱にあふれます。夢をもたなければ夢は叶いません。そして、単に夢をもつだけでなく、夢を実現するために強い執念を持たなくてはなりません。
誰も作っていない商品を開発して販売を拡大すると意気込み、先々に目を向けますが、なかなか開発が上手くいかない、販売が伸びないとなれば、いつしかその情熱を失い、努力を怠り、夢を投げうってしまうことも少なくありません。諦めるのは簡単ですが、それまでの情熱、努力はそこで無くなります。
大事なのは決心したならば目標を達成するまで、情熱、努力を燃やし続け、決して諦めないことです。人の一生は新幹線のごとく速く過ぎ去ります。だから、夢を実現するためにやりたいことは次々とやってみて下さい。